穂の原でんしゃ製作所

鉄道模型を楽しくカンタンに工作したい方にオススメ。

不運の仲間

スタイルは似ていて

 1012形は高速旅客用として用意されましたが、その原型になったマシンが1014形、1114形になります。

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 1014-1114形はオーストリア純国産マシンで、その原型となる1822形の車体をベースにしています。1822形はABBとSiemensが電機部品を供給した交直両用機で、どちらかというと貨物機に近い位置付けでしたが、1014,1114形は175km/h対応の旅客機として開発された位置付けです。形式を見てわかるように、15kV単電圧仕様と、25kVにも対応できる複電圧仕様に分かれていますが、高速走行にしては中途半端な速度ですし、出力も3400kWと中型程度でしたので、ドイツ乗り入れに使用するにはICE高速列車網の一部を形成するマシンにはなれず、1012形の開発が必要となってしまったわけです。

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 ということで、高速走行に対応できるマシンとして、1014形や1822形の車体を担当したSGP Grazと、1822形の電機品を担当したSiemensにより1012形が生まれたわけですが、製造中にSGPがSiemensのグループ傘下になり、Siemensが別途オーストリア乗り入れを目的としてDBと開発していた貨物機152形が思わぬ結果で乗り入れ不可の状態で出来上がってしまい、オーストリア側の車両調達価格を1012形よりも低減したい目的と、ドイツ側のオーストリア乗り入れ仕様貨物機の早急な調達という利害がSiemensという調達先の思惑と一致して、高速旅客/貨物の両仕様を兼ね備えるES64U2タウラスというマシンを生む土壌になったわけ、ということらしいです。

 まあ、タウラスという現在の欧州で汎用的に活躍しているマシンを生む環境は、こんな感じであったということで、面白いものです。

 最も、Siemensもタウラスを生み出した時は電機品の供給のみで、車体は名門クラウス=マッファイで製造していましたので、当時の欧州の車両メーカーの統廃合は実にドラスティックな一面があったということも言えるでしょう。

 まあ、今回ボンバルの車両製造部門がアルストームに身売りするので、それはそれでビックリだったわけですが、ボンバル自体はそもそも車両製造会社ではなく、日本がニューヨーク地下鉄のリハビリ工事を皮切りに米国へ進出した際に、地道に日本メーカーの動きを観察しながらカナダ自国以外の進出の機会を伺い成長しだした、という経緯があることから、商売になる美味しい時期のみ車両製造に手を染めるという考えなのかもしれません。あくまでも穂のでん坊やの独断的妄想です。

 Traxx3の売れ行きがイマイチ?な感じがしますので、そろそろボンバルも潮時と感じたのかもしれませんネ。