16番の初期製品らしい
フリーランスのEB電機はOゲージ時代から庶民の高級玩具の定番のようでした。16番が普及し始めた初期の50年代後半から60年代にかけても、当然のようにその流れがあったようで、EBが顔の一角を占めていたようです。
カツミのHPにある資料では、1963年のカタログにはEB58、EB10、EB61が製品として紹介されていまして、今でも中古市場に多く流れている58や10は、かなり息の長い製品であったことが窺えます。
さて、その中でEB61という製品はちょっと異色のようで、穂のでん坊やがオチビさんだった頃は既に姿を消していました。
製品の構成が少々特殊だったからかもしれません。10や58は∮15.5という旧型電機と同等の車輪を使用し、インサイドギアによる動力伝達方式という、80年代まで続いた16番の王道を行く構造でしたので、70年代後半まで製造され続けたことにより、広く普及することが出来て、未だに中古市場で多く取引される状況に恵まれているのでしょう。
しかし、このEB61は∮14の新系列電機の車輪径を採用したためか、インサイドギアー方式ではなくスプリングベルトを用いたプーリー方式という、世代の先祖返りの構造になっています。また下回りの鋳造構造の採用や、パンタグラフがアオヤギ製を採用しているなど、他のEBとは異なるメカや部品を採用している点など、どうもカツミで製造しているのとは少々異なる雰囲気があることから、流通や製造など様々な面での違いを検証する必要があるかもしれませんが、その道の専門家の方が詳しいでしょう。
さて、そんな製品ですのでお目にかかる機会も大層少なく、まさに見たら買いの個体です。
残念ながら、あまり良い状態の個体に巡り合うことは無いので、テキトーにゲットして整備するのが望ましいでしょう。この個体も随分とくたびれていましたが、アオヤギ製のPS10が健在だったのが救いです。
EB61という数字から、EF61をベースにしたショーティーであることは言わずもがなであり、パノラミックな前面窓やその背後の側窓の下の面取り形状は、まさにEF61の特徴を表しています。
細身の側面ルーバーも特徴を表していますが、明かり窓が一切省略されているのはコストダウンのためでしょうか。
・・・そのうち続く。