風格残す
穂のでんの中では未だに名車である京浜600形。
関東では当たり前だった正面2枚窓のスタイルと、甲高い駆動音を轟かせての高速の走り、電制が失効した時の旧型車っぽい鋳鉄制輪子でのブレーキなど、今の価値観とは異なる、威風堂々とした走りを堪能できる名車中の名車でした。
公園の片隅、横須賀線の踏切に近い場所に、長らく保存されています。
片側がプラットホーム状になっていて、室内に自由に立入が出来ます。
保存会による定期的な手入れで、何とか現役時代に近い状態で維持されるよう努力されていますが、どうしても耐候性が無い部分は劣化が進んでしまいます。モケットも結構な箇所ブルーシートに変わっています。ブルーシートも2~3年経つと劣化してしまいますので、更に手入れが必要になってしまいます。
外板も相当くたびれてきており、穴が明いている箇所が増えてきています。雨どいは朽ちて無くなっている箇所もあります。
どうしても屋外で風雨にさらされる状況では、鉄の車には限界があります。常に手入れをしないとすぐに腐ってしまいます。30年ここまで持たせたのは、かなり大変なことだったでしょう。
といっても、ココまで来た状態では、崩壊するのも時間の問題。下手に錆落とししたら大変なことになってしまいます。
室内は以外にも綺麗に見えますが、それは表面上のこと。室内の劣化が判るようになったら、もう手が付けられない状況になっているものと思った方が良いそうです。
車両の保存は、それだけ労力とお金がかかる、大変な事業です。
さて、運転台は質素な作りです。マスコンとブレーキ弁がデンと構える運転台に、ガニマタになって着席するスタイルは、昔は当たり前のことでした。電車はこれでもきちんと動きます。
ということで、鉄コレ整備の材料になったかならなかったか、少々疑問に思いながらも帰宅の途に就いたのでした。
・・・おしまい。