ツリカケ式マシン
モノマネ大国日本の省型電機は、小出力且つ輸入車からスタートしましたので、ある程度完成形から始まったということになります。その点ツリカケ式駆動が当たり前で、数少ないブラウンマシンだったED54のブッフリ式は「精巧過ぎる」という理由の下、異端という扱いにされてしまい短命になっていました。
よくよく考えてみると、この経緯は日本人の大いなる自己誤解を表す一例にもなっているといえるでしょう。後にEF60などの初期新型電機に採用されたクイル式駆動装置が、やはり不具合等の理由により淘汰されたのも、同じような経緯ですし、DD54が短命に終わったのも、結局のところ似たような事象によるものです。
欧州では極めて汎用的に採用されているリンク式(クイル式に近い構造)が日本ではEF66やEF200など一部にしか浸透しなかったり、フランスでは一世代を築いたブッフリ式が日本では使い物にならなかったり、ということは、精緻な構造というよりも、日本は米国流の構造の方が扱いやすい、即ち大雑把で現物合わせが得意であるという、その場限りの対応に長けているという面で、もう少し正確に見直す必要があるでしょう。
更に判りやすい例でいえば、車両の配管は米国や日本は「テーパーネジ」が主たる接続方法ですが、欧州は「並行ネジ」が主流ということです。最近は日本でも施工力が落ちてきていますので、これによる弊害が徐々にお化けになってきています。
やはり地球の鉄道史において現在の日本国内での主流的な「定評」になっているものは、どちらかというと独りよがり的な評価になっているという見方で、丁寧に見直ししていかないと、今後困るようなことになるかと思います。
ということで、今度はドイツ国鉄を代表する初期の汎用電機、E44になります。
・・・次回へ続く。