製品のエラーか?
メルクリンのHO模型車輌は、走りが好調なところに定評がありますが、たまにそれとは異なる事態に遭遇することがあります。
【台車の固定方法】
この貨車の場合は、台車の中心ピンが車体側から出ており、その先端の突起(写真2の黄色矢印部)が台車側の貫通穴に引っ掛かって(写真1の黄色矢印部分)固定する方法になっています。
写真1 台車の状態
写真2 車体側の状態
【ショートカプラーの固定方法】
ショートカプラーは上下方向に拘束する部分が、先端の床板に引っ掛ける部分と、台車から床板に押し付ける突起(写真1の水色矢印部が写真2の水色矢印部を抑え込む)部分のみとなります。
【入手品の状態】
多分製品設計の根本的なエラー構造だと思われます。
車体が台車を支えるのは、写真1の水色矢印が指す突起部分になっています。そして台車が車体から外れないように黄色矢印の指す部分で台車をはめ込んでいるのですが、当然水色2点黄色2点で中心ピンを挿み込む構造のため、台車の旋回のみの自由度となり、ねじり動作ができません。すると線路状態が勾配やカントなどの区間に入ると、1両の車体でねじれ状態となり、前後の台車がそれぞれ車体に追従しなくなるため脱線しやすくなります。
入手品では、その状態を回避するため、写真1の黄色矢印の指す穴部分の周囲を、面取りをした形跡がありました。前後の台車で面取り状態が異なったので、これは手作業でやられていると推察します。
この手入れで、台車の線路への追従性は良くなりますが、車体から外れる可能性が増します。入手品では、そこまでユルユルではなかったので大丈夫ですが、根本的な問題が他に発生していました。
・・・つまり、ショートカプラーを抑え込む水色矢印部分が、台車のねじり動作可能となったことで抑え込む機能が不十分となり、写真2の黄緑方向にばね力で引っ張られ、全体が下に下がり、拘束爪が台枠から外れてショートカプラー全体が外れた状態になってしまうわけです。
これでは、連結運転など話にならない状態なので、改良する必要が生じます。
簡単に済ませるために、写真2の赤矢印のように、薄手のプラ板を貼り込んで、強制的に爪が乗り越えない状態にしました。
このプラ板、0.3mm程度になると走行中に台車枠と干渉したりして、ねじれ運動に影響が出てきますので、0.15mmのプラ板にしました。
また接着剤が爪部分に回り込むのを監視するため、透明プラ板にして内部の状態を見ながら接着作業を慎重に行いました。瞬間接着剤を使用しています。
最後にプラ板を黒く塗装し、作業は完了。
ショートカプラーの外れ発生がなくなり、台車も十分に可動します。
メルクリンのこのタイプの貨車を入手される際は、十分にご注意ください。
おしまい